top of page
コラムページアイコン.jpg
​情報紙 SECOND

SECOND Column Page

Vol.1 ブラック・ジャック

Ram

 休日、いつもとは違う、少し離れた小さな図書館へ足を運んだ。そこには、興味深い本がたくさん並んでいた。ふと、懐かしいある漫画が目に入る。
 その本の主人公は、黒マントに赤のリボン、白髪と黒髪が混じり、顔にはツギハギの傷、小さな幼女を連れている。そう、彼の名は『ブラック・ジャック』無免許医師。莫大な報酬を請求するが、人間に限らず、動物・ロボット・幽霊、不可能と言われる手術を神の手で治す天才医師。この作品は、「鉄腕アトム」や「リボンの騎士」などの数多くの名作を生み出した手塚治虫氏の漫画だ。ブラック・ジャックは、彼が志す医者のあるべき姿が描かれている。人間の醜さ、愚かさ、葛藤、人間性が滲み出ていて、それが垣間見える瞬間に焦点を当てている。時には宗教、環境破壊など社会への問題提起もある。ストーリーもさることながら、何より常時ニヒルな彼の義理人情厚い一面が見える瞬間に惚れてしまう。
 彼に再会出来て嬉しく思う。読むたびに心をメスでえぐられるような気持ちを抱かせられ、投げかけに対して深く考えさせられた。
 幼少期に還るような思いでこの漫画を読んでみてはどうだろうか。
 生きていく過程で欠かせない医療。
 その存在意義を問い、追求し続けていただきたい、「生きるとは」「生命とは何か」を。

bottom of page